キャンプの脇役を主役にした本!?
「シェラカップの同人誌」

アウトドアブームが評論系同人誌にも飛び火

もはや天井を知らない勢いのアウトドアブーム。登山やキャンプの漫画の登場をきっかけに、本来インドア派であるオタクカルチャーの分野でもアウトドアは人気となった。世界最大のオタクの祭典、コミックマーケット94 の開催時に発行された「シェラカップの同人誌」は、キャンプで使われるステンレス製の食器の話だけで構成された54ページの同人誌。アツいシェラカップ愛が伝わる一冊になっている。

商業雑誌も顔負けの編集内容

シェラカップに全く触れたことのない人でも、このページを読みさえすれば、それがなんたるか理解できるだろう。

 軽くて丈夫なコップであるシェラカップは、時に火に掛けてお湯が沸かせる鍋となり、計量カップや持ちやすい取り皿にもなるという、アウトドアマン御用達のアイテム。キャンパーには馴染み深い便利グッズだが、あまりに機能が単純すぎることから、これまでアウトドア雑誌でも深掘りされてこなかった。

 しかし、同書ではその使い方から誕生の歴史に始まり、国内外13ブランド のシェラカップの特徴や、シェラカップを使ったクラフト、シェラカップの仲間であるロッキーカップまで話が派生し、写真と文章でわかりやすく解説している。

中には1万円を超える高級カップも……

ブランドレビューでは、他製品と比較できるよう細かなスペックの記述も。

 全体的に、デザインも構成も写真も商業誌顔負けといった感じだが、一方で同人誌ならではのバカげた企画もある。例えば「駄菓子のカツを使ったミニカツ丼のレシピ」や「シェラカップを使ったミニ燻製」、「シェラカップのシルエットクイズ」などは、およそ実用とはかけ離れた悪ノリだろう。

意外とキャンプ好きでも知らない人が多いというロッキーカップとその仲間たちも紹介。

アウトドアブランドが増え、次々と新しいギアが登場している昨今だが、ローテクなシェラカップはみんなに愛され続ける名品。絶妙にニッチな線を狙った、評論系同人誌らしい題材選びと、予想を超えてくるコンテンツ作りに脱帽。

サイズはB5サイズと小ぶりなので、キャンプの時の荷物に入れてコーヒーでも飲みながら読んでいたら、すぐにシェラカップ博士になれるだろう。

Infomation

「シェラカップの同人誌」¥1,223(委託価格)
発行:moetion
Web:https://circle-moetion.com/
Twitter:@circle_moetion

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